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歌舞伎座新開場から1年、ますます盛り上がりを見せている歌舞伎界。この5月は明治座に、今大注目の若手がずらりと集結!昼も夜も大奮闘するのが、ご存じ市川染五郎だ。新作や復活狂言にも並々ならぬ情熱を注ぐ若きリーダーが、次代を担う若武者たちを従えて縦横無尽の活躍を見せる。父・中村又五郎との親子同時襲名から3年目を迎え、端正で爽やかな二枚目立役として成長著しい中村歌昇と、近年大役を次々と任されている女方のホープ、中村壱太郎と共に、歌舞伎役者という仕事について、また現在出演中の「明治座 五月花形歌舞伎」について、素直な思いを語ってもらった。三者三様、熱き思いをご堪能あれ!

チケット・公演情報


染五郎は「アツい」先輩!

市川染五郎

──4月にも皆さん揃って金丸座の「四国こんぴら歌舞伎」に出演されましたね。平成生まれの若手の方たちも今まさに伸び盛りです。

染五郎 一緒に同じ時代を生きていく仲間ですからね。みんなでどんどん盛り上げていかないと。金丸座も若手だけで結果を出すことを目標に、「あの座組ごと歌舞伎座を乗っ取りたい!」というつもりで取り組みました。やり残したことはたくさんありますけど、楽しかったですね。

──染五郎さんはどんな先輩でいらっしゃるんですか。

歌昇 僕はご一緒させていただく機会が多いんですが、いつも「本当にどこまで行ってしまうんだろう?」と思うくらい、アツい方です! 僕もいつかはそうなるべく、まずは体力づくりから始めたいなと(笑)。尊敬しています。

壱太郎 僕は4月に相手役もさせていただいてがっぷり一緒にお芝居をさせていただいたんですが、芝居を創る楽しさをいつも以上に感じました。ひとつの台詞でも緻密に考えて創っていくことが本当に楽しくて。今月もまったく同じですね。

──熱気をそのまま5月の明治座に持ってこられる、と。

染五郎 ただ、やるものが違うので積み重ねたものの余韻を感じる時間もなく(笑)。まっさらなところからまた次に進むという苦しみはありますね。

「好き」を仕事にする幸せ

中村歌昇

──歌舞伎にあまりなじみのない方に、「今、歌舞伎を観る面白さ」をアピールするとしたら?

染五郎 やっぱり若手を観てもらうことがひとつですね。大先輩たちの「大歌舞伎」を楽しんでいただくのももちろんですけど、若手がどれだけ目立って「何するんだろう? 何か面白そうだな」と思わせることが大事じゃないかなと。

──歌昇さん、壱太郎さんはつい最近まで大学生でもいらしたわけですが、同世代の方たちに対して歌舞伎の魅力をどのように話していますか。

歌昇 あまり口で説明するよりも、とにかく一度観にきてもらうのが一番わかりやすいと思うんです。衣裳でも背景でも、どんな事でも「いいな」と思ってくださるところは絶対にあるはずなので。「とりあえず観に来て下さい、話はそれから」みたいな(笑)。実際に僕の友人たちも観に来ると「すごく面白かった!」と言ってくれますね。たまに「義太夫さん(歌舞伎の語り手)はなんであんなに顔真っ赤にして唸ってるの?」とか意外な反応もあって、「いや、必死なんだよ、あの人も」とか説明してます(笑)。

壱太郎 染五郎さんのお話にもあったように、20代という“若さ”は今だけ。今しか出来ない自分を前面に出して観に来ていただくことも必要かな、と。大きなチャンスが巡ってきたこの4月・5月は「勝負」だと歌昇さんとも話してるんです。20代前半の僕たちと同世代の方たちにも食いついていただきたいし、あとは歌昇さんと思いは同じで、とにかく観にきてほしい。はじめはストーリーが全部わからなくても構わないと思いますし、「あの人カッコよかったね」「きれいだったね」でも、何かひとつでも持ち帰っていただけたらいいなと。

──染五郎さんご自身の20代を振り返るといかがでしたか。

染五郎 例えば何かを選択しなければいけないような場面では、結果が予測ができない方を選んできましたね。準備期間がない時には「準備期間がないのにあれだけのものをやれた」ということが出来たらカッコいいだろうなと。若い頃って、「何でもやりたい」と思う時期が過ぎると、だんだん夢が具体的になっていくんですよ。思っているだけではだめで、どんな作品を、どんな手段でどんな風に見せたいのか、具体的に説明できないと「やりたい」ということにはならないんです。それと、どんな仕事も選べるこの時代に、「人生の仕事はこれひとつ」と思い決めている人間の在り方を見ていただくのもひとつの楽しみじゃないのかなと。今って、「ちょっと向いてないから」と、すぐ仕事を変えることが多すぎる気がするんです。僕らは親もおじいさんも同じ仕事だけど、面白いものを「好きだから」やってる人間の集まりだと思うんですよね。

──世間的には世襲というと「否応なく継ぐもの」と思われている部分もあると思うんですが、「好き」というのはこの道に進んだ大きな要因なんですね。

歌昇 僕の場合は父から、ほかの仕事に就くのも選択肢だとは言われていたんです。でも僕自身が高校生になってお芝居に出させてもらうようになると、中学時代に観客として観ていた世界とは大きく違って、こんなに面白いものなのか!と改めて驚きました。父や播磨屋のおじさん(中村吉右衛門)が歌舞伎を好きにさせてくれた環境に感謝しなきゃいけないなと思います。

──中学時代はバレーボールに打ち込んでいらしたとか。

歌昇 そうなんです。お稽古事も一切せず、むしろ歌舞伎があんまり好きじゃなかった。父親の歌舞伎を観に行くのでさえ若干うっとうしくて、いわゆる反抗期でした。でも、そうして一度距離を置いたからこそ、見えたところもあると思います。

壱太郎 僕も、まず好きになることが何より大事だと思いますね。染五郎さんもおっしゃったようにいつでも転職できる時代だからこそ、本当に好きなことを仕事にできる幸せを大学時代に身にしみて感じました。就職活動でみんなはゼロから好きな仕事を探してるのに、僕は物心ついた頃には「1」をもらっていたわけです。「こんなに楽しいことはない!」と自信を持って言える幸せ。これはもう、一生突き詰めていくしかないなと思っています。

──あれもこれもやりたいという思いと同時に、先輩から教わったことをきちんと受け継ぐことと両輪が必要になりますね。

染五郎 古典がどれだけ身体に入っているかという前提あっての新作だと思います。僕は新作を創る場合には、古典と相対するつもりで取り組んでいるんです。古典に匹敵する完成度と洗練度を持ったものを、ゼロから創ってやろう、という思いはありますね。「伝統はすごい」というのは確かにその通りだけど、伝統に屈服しているだけでは納得できない。だから完璧に洗練された古典の傑作に対抗するエネルギーを持つ新作を、と常に思い続けてます。

──う〜ん、染五郎さん、熱いですね。歌昇さんのおっしゃる通りです。

歌昇 部屋の温度が2、3度上がってます(笑)。

カッコ悪すぎてカッコいい!?

中村壱太郎

──いよいよ「明治座 五月花形歌舞伎」の幕が開きました。昼の部は『義経千本桜』の「鳥居前」、『釣女(つりおんな)』、「艪清(ろせい)の夢」こと『邯鄲(かんたん)枕物語』です。

染五郎 「鳥居前」は古典の傑作です。“ザ・歌舞伎”ともいえる芝居を、初役で勤める歌昇さんをまずは見届けてもらいたいですね。『釣女』は狂言をもとにした、とても面白い踊りです。「艪清」は昔、亡くなった(澤村)宗十郎のおじさんがご自分の会でおやりになったのを観て、いつかやりたいと思っていたんですよ。テーマや社会性が明確に打ち出されるお芝居も昨今は多いですが、これはまったく関係ない(笑)。大らかで、ゆったり楽しめるお芝居も歌舞伎にはあるので、今後引き継いでいきたいという思いもあります。

──夜の部は『伊達の十役』。三代目市川猿之助(現猿翁)さんが練り上げた、早替りあり宙乗りありの人気作ですね。染五郎さんにとっては念願のお芝居とか。

染五郎 そうです。長年憧れてきました。猿翁のおじさんからも何度も勧めていただいていたんですが、思いがけず実現できるとは感無量です。十役のうち女方も三役あって、正直言って僕はこの作品のために他の芝居でも女方をしてきたくらいなんですよ。心身共に確実に大変な芝居ですけど、カッコ悪さも行き過ぎればカッコよく見えるんじゃないかと思って(笑)、とにかく全力を出し切りたいですね。

──歌昇さんは「鳥居前」の忠信に初めて挑戦されます。

歌昇 4月の金丸座も今月の明治座も、さっき壱太郎くんも言っていたように「勝負」だと思ってます。僕らの世代は本当に役者の人数が多くて、前には先輩がいるし、後ろからはどんどん後輩が来る。何かしていかないと飲み込まれてしまいますから、この世代でやらせてもらえるありがたさを喜んでいるだけではダメだと思うんです。今回の「鳥居前」は(坂東)三津五郎のおじさんに「あっけらかんとした荒事の明るさを大事に」と教えていただいたので、荒事の形をしっかり意識しながら、歌昇という存在を何かしら残したいと思っています。

──壱太郎さんは『釣女』、「艪清の夢」、『伊達の十役』でさまざまな女性を演じられます。

壱太郎 最近僕は女方をやらせていただいてるんですが、今回のチラシを拝見して染五郎さんの女方姿がとてもきれいなので、染五郎さんに負けないようにしたいです。ちょっと悔しくて(笑)。

染五郎 ハハハハ!

壱太郎 昼も夜もお姫様をやるので、歌舞伎の女方ならではの美しさを見せたいですね。「艪清の夢」は題名の通り夢のお話なんですが、本当にほのぼのと観ていただけると思います。歌舞伎って初日から千穐楽までどんどん芝居が変化していくので、新しい芝居を毎日創るような気持ちで千穐楽までできればいいなと。

染五郎 行儀よく言えば「どの劇場にもたくさんお客さんに入っていただきたい」というところですが、本心はやっぱり「打倒、歌舞伎座!」です(笑)。若手の座組ですけど、こっちのほうが熱い!ということを目標にしないとどちらも盛り上がらないと思うので、あえて口に出してます。歌舞伎座よりスゴい、しかも歌舞伎座より安い!

歌昇壱太郎 それ、大事です!(笑)



取材・文:市川安紀
撮影:源 克己


もっと知りたい エンタメ&パーソナルQ&A

     <市川染五郎編>


今までで一番感動したエンタメ体験は?

TV版『スパイ大作戦』が小さい頃から大好き。最近DVDを買ってみたら、映像が格段にキレイになっていて感動した(笑)

休日の過ごし方は?

子供が小さいので家族で食事に行くぐらい。ステーキ屋、回転寿司、しゃぶしゃぶ食べ放題……。あとは子供が廃材で芝居の仕掛けを造るのを手伝ったり。

歌舞伎俳優になっていなければ?

野球選手。

自分を漢字一字で表すと?

「鮪」。止まると死ぬから。ちょっと高級っぽいし(笑)。



     <中村歌昇編>


今までで一番感動したエンタメ体験は?

大叔父の萬屋錦之介の主演映画『宮本武蔵』。何もかも圧倒的で、「こんな人が親戚なのか?!」という衝撃。

休日の過ごし方は?

基本的に寝る。よく寝て、よく食べる。カフェでボーッとするのも好き。ちょうど5月は一番いい季節。河川敷でひなたぼっこするのが今の夢…。

歌舞伎俳優になっていなければ?

何かしらのスポーツ選手。

自分を漢字一字で表すと?

「感」。感動しやすい性格。いろんなことに感化されやすい!



     <中村壱太郎編>


今までで一番感動したエンタメ体験は?

初めて漫画を見た時。絵からキャラクターの声や、さまざまなシチュエーションに想像がふくらむエンタメはなんて面白いものなんだ!と。

休日の過ごし方は?

じっとしてられない性格なので、「今日は絶対料理を作ろう!」などと何かしら決めている。朝から修学旅行みたいにびっちり予定を組む。

歌舞伎俳優になっていなければ?

喫茶店のマスター。メニューにない料理を作る。

自分を漢字一字で表すと?

「動」。つねに動き続けている。でもたまに電池が切れる…

チケットぴあのインタビュー「Special Interview 一語一会 歌舞伎男子」のページです。

INFORMATION

■明治座 五月花形歌舞伎

出演:
市川染五郎 / 市川高麗蔵 / 中村亀鶴 / 中村歌昇 / 中村壱太郎 / 中村種之助 / 中村米吉 / 中村隼人 / 中村児太郎 / 大谷廣太郎 / 澤村宗之助 / 松本錦吾 / 大谷桂三 / 坂東竹三郎 / 中村歌六 / 片岡秀太郎

公演日:5月2日(金)~26日(月)

会場:明治座


チケット情報

PROFILE

■市川染五郎

芸歴
▼昭和48年1月8日生まれ。松本幸四郎の長男。54年3月歌舞伎座『侠客春雨傘』で三代目松本金太郎を名のり初舞台。56年10・11月、歌舞伎座『忠臣蔵』七段目の大星力弥ほかで七代目市川染五郎を襲名。平成6年4月歌舞伎座にて名題昇進。舞踊の松本流家元・松本錦升を兼ねる。
プロフィール
▼立役。歌舞伎界でいま輝いている若手花形の一人。清新な美貌と若さに似合わぬ演技力で、古典歌舞伎の二枚目はもとより、家の芸の時代物の実事や敵役もいい。上方歌舞伎の和事にも積極的にとりくみ、珍しい『乳貰い』などの復活でも成果をあげてきた。そのほか『小笠原騒動』などの復活狂言、『三国一夜物語』などの新作まで、果敢に挑戦している。二枚目から実悪、色悪、女方までできる。舞踊も得意。『アマデウス』などの現代劇や、劇団☆新感線とのコラボレーションで話題になった『阿修羅城の瞳』『髑髏城の七人 アオドクロ』、映画『蝉しぐれ』など、歌舞伎以外でも幅広く大活躍している。


■中村歌昇

芸歴
▼中村又五郎の長男。平成元年5月6日生まれ。6年6月歌舞伎座〈四代目中村時蔵三十三回忌追善〉の『道行旅路の嫁入』の旅の若者で四代目中村種太郎を襲名し初舞台。23年9月新橋演舞場『舌出三番叟』の千歳などで四代目中村歌昇を襲名。
プロフィール
▼立役。まだどこかにあどけなさが残る甘いマスク。二枚目が似合う役者になるだろう。近年急速に舞台が増えてきた。父・又五郎が吉右衛門の一座に出ることが多いから、おのずと吉右衛門一座で修業し、学んでいくことになるだろう。『竜馬がゆく 立志篇』で土佐の下級郷士を真摯に演じていたのが印象に残る。これからの成長が楽しみの若手である。平成23年9月に、父が30年間名のってきた歌昇の名を四代目として襲名した。


■中村壱太郎

芸歴
▼中村翫雀の長男。祖父は坂田藤十郎。母は吾妻徳弥。平成2年8月3日生まれ。7年1月大阪・中座〈五代目中村翫雀・三代目中村扇雀襲名披露興行〉『嫗山姥(こもちやまんば)』の一子公時(きんとき)で初代中村壱太郎を名のり初舞台。
プロフィール
▼祖父は坂田藤十郎。初代中村鴈治郎の直系。母方の曾祖母は舞踊の名人・吾妻徳穗。藤十郎の『河庄』で丁稚三五郎や『女殺油地獄』の妹おちかを神妙につとめるなど、地道に上方狂言の雰囲気を身につけてきた。16歳で近松座公演で『鏡獅子』を踊って注目され、雑誌「演劇界」で「清楚で初々しい、莟の花の、しかしスター性の萌芽も鮮やかな十六歳の弥生を見せた」と評された。規格正しい、基本をしっかりと身につけた芸が好もしい。着実に一歩一歩成長していくだろう。上方の名門・成駒屋の将来がその細い双肩にかかっている。

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